木陰からそのアントシアニン

 木陰からその手は伸びていた。大きくふしだっアントシアニンた男の指先が『それ』とミモザの亜鉛の効果手にするモーニングスターメイス、チロのことを示す。
 チロからは黒い塵のような魔力のオーラが漏れ出ていた。
 慌てて背中にチロのことを隠すが、男のセリフからも、もう遅いのは明白だ。亜鉛 サプリ
 声とともに影から姿を現したのは引き締まった体に教会に属する精霊騎士であることを示す白い軍服を身にまとった美丈夫だった。
 夜空のように深い藍色の髪は豊かに脈打ちリボンで一つに束ねられて背中を流れ、その長い前髪で右目は隠されているものの黄金色の左目がこちらを眼光鋭く見据えていた。
 彼の背後にはミモザの背丈ほどもある翼の生えdha epa dhaた大きな黄金の獅子が同じくこちらを睥睨している。
 その王者然とした堂々たる体躯の男にミモザは見覚えがあった。
(嘘だろ)
 心中でうめく。
 彼の名はレオンハルト。
 いじめっ子のアベルの腹違いの兄であり、この国最強の精霊騎士である『聖騎士』の称号を冠する最強の男であった。

 『狂化個体』は取り締まりの対象である。
 その多くは欲望に理性を飲まれてしまい何をするかわからないからだ。
 実際、ゲームの中のミモザとチロも最初はささやかな嫌がらせをする程度だったのが段々とヒートアップしていき、最後の方はかなり直接的に主人公達に危マカ サプリ害を加えようとしていた。
 ミモザは後退る。
「いや、これは……っ」
 なんとか言い訳を捻り出し逃げ道を探そうとして、不意にその体が発火するような熱につつまれ、息が詰まって二の句が告げなくなった。
「……はっ」
 呼吸が荒くなる。動悸がする。
 一瞬レオンハルトが何かをしたのかと疑ったが、すぐに違うことに気がついた。
「チゥーー」
 チロが低く唸る。
 チロが身に纏った黒い塵のようなオーラが、チロを握る手を伝い、ミモザの身体も飲み込もうとしていた。
「……あっ、」
 体が勝手に臨戦態勢をとる。チロに引っ張られるようにその切先をレオンハルトへと向けた。
 彼にもミモザの状況がわかったのだろう。側に控えていた黄金の翼獅子に手をのばし、その姿を身の丈ほどの亜鉛の効果見事な刃ぶりの剣へと変じさせる。
(待て……っ!)
 心で命じるのに体が言うことを聞かない。いや、違う、あれは敵だ。
 自分達を拘束しに来た敵だ、と頭が警鐘を鳴らす。
「チチッ」 
 バレたからには殺すしかない、とチロが囁いた。
亜鉛の効果マカ

 ゴードン亜鉛 の サプリ

 ゴードンはサプリメント マカ新米兵士である。
 一応精霊使いと名マカ乗れる程度の素養はあるが、塔を5つ目で挫折したため精霊騎士ではない。それでも5つ目の塔まで攻略した実績を評価され、王国騎士団の下っ端として拾ってもらえたのだ。エリートコースを歩むためdhaには精霊騎士になることが必須であるが、田舎の出身で王都で暮らすことを夢見ていたゴードンにとっては食っていける職にありつけただけで上々の人生である。
「壮観だなあ」
 そんな新米で小市民なゴードンにとって、今回のは初めての大規模な任務であった。実に数千人規模の両騎士団を動員した、戦争でも始めるのではといった事件だからサプリメント マカだ。
 ゴードンの前方には整然と先輩兵士が並び、そのさらに前にはエリートの精霊騎士達、そしてそのさらに前、先頭にはー
(あれが『三勇』)
 我らが王国騎士団団長フレイヤ、教会騎士団団長ガブリエル、そして聖騎士レオンハルトの姿があった。
 ちなみに三勇とは『三人の勇士』の略である。かつては『二将、一勇』や『三英傑』など色々と呼び方を模索したらしいが、一番語呂がよく呼びやすい『三勇』に落ち着いたらしい。やはり語呂は大事だ。
 ゴードンのような下っ端ではレオンハルトはおろか、フ亜鉛レイヤですらお目にかかる機会は滅多にない。
 それが3人揃い踏みなのには当然理由がある。王都周辺で野良精霊の大量発生という異常事態が起こったからだ。それも複数箇所同時にである。
 それなのに何故ここにこんなに戦力が集中しているのか?
 単純に考えれば分隊を大量に分け、各地に派遣すべきと考えるだろう。そして実際に別働隊は存在している。しかし彼らの仕事は精霊の駆除ではなく、住民の避難と精霊の追い込みである。
 今回あまりにも精霊の量が多く、また倒しにくい相手であった。熊型が大量発生したのだ。
 そのため一箇所一箇所殲滅して回るには時間がかかり過ぎた。そこで考えられた案が追い込み漁である。
 幸いなことに大量発生しているクロム場所は王都周辺と限られていた。そのため大量発生が起こった一番外側を円の端にしてぐるりと騎士達で囲み、そのまま精霊達をこの何もないだだっぴろい荒野へと追い込み、そこで待ち受けて一網打尽にしようということになったのである。ちなみにこの作戦の発案者はガブリエルである。ゴードンは今まで知らなかったが、彼は知将として国内外で有名らしい。
 その時、上空からひらひらと何かが舞い降りてきた。それは2匹の守護精霊だ。
 1匹は黒い羽に銀色の模様の映える美しい蝶。そしてもう1匹は黒く艶やかな装甲をして鋭いツノをもつノコギリクワガタだった。
 その二匹は諜報にでも出されていたのか前方の三勇の元へと飛んで行く。
「お、三勇様の守護精霊だな」
 その時前に並んでいた先輩がつぶやいた。
「確か、団長様のでしたっけ?」
 それにゴードンは声をかける。先輩は目線だけで振り返ると「ゴーヤ当たりだ」と笑った。
 ゴードンは当たったことが嬉しくてへへっと笑う。噂で両騎士団団長はお互いが同じ虫型の守護精霊であることが気に食わなくて仲が悪いのだと聞いたことがあったのだ。
「両団長様のだな。おそらく追い込みの調子を確認していたんだろう」
 先輩の言葉を肯定するように、仕入れてきた情報を主へ伝えようと精霊達はそれぞれの騎士団長へと近付いて行った。
 蝶はガブリエルの方へと進み、その姿を美しい鉄扇へと変えた。
 クワガタはフレイヤの方へと進み、その姿をいかついチェーンソーへと変えた。
「ぎゃっ」
 逆だろ!と叫びかけてすんでのところで堪える。しかし、
「いや、逆だろ!!」
 口を手で押さえるゴードンの背後から声が聞こえた。振り返るとそこには指差して叫んでしまったと思しき同僚の姿があった。彼は先輩に頭を引っ叩かれ、逆にゴードンはこらえたことを褒めるように先輩に頭を撫でられた。
(あとであいつに声かけに行こ)
 友達になれる気がする。
「ぼさっとするな、来るぞ」
 他の先輩が促す。それとほぼ同時に地響きのようなものが始まり、そして姿を現した亜鉛
 大量の熊型の野良精霊である。
 そのあまりの多さに、みんなわずかに怯んだようだった。しかし、
 ごうっ、と風の燃える音がした。
 レオンハルトだ。
 彼が巨大な剣を一振りすると、そこから炎を纏った斬撃が放たれ、それは徐々に範囲を広げながら熊達を焼き切った。あまりの高温ゆえに、おそらく斬撃に触れた場所が蒸発したのだ。
 胸から上を失った熊達が無惨に倒れ伏す。
(すげぇ……)
 なんと彼はその一振りでたどり着いた第一陣をすべて焼き払ってしまった。
 まさに一騎当千。
(これが、聖騎士)
 これが最強の精霊騎士か、と感嘆すると同時に畏怖の念が湧く。
 味方ならこんなにも心強いが、もしも敵対することがあればと思うと冷や水を浴びせられたように体が一気に冷たくなり震える。
「聞け」
 その時声が響いた。ゴードンは弾かれたように顔を上げる。
「これは皆のための戦いである。家族や友、そして愛すべき国民を危機に晒してはいけない」
 けして叫んでいるわけでないのに、大きくよく通るレオンハルトの声が響く。
 その言葉にゴードンははっ、と我に返る思いがした。そうだ、守りに来たのだ。自分の想像に怯えている場合ではない。
「皆の者、俺に続け。必ず勝利を掴み取るぞ」
 オオオォォォッ!と雄叫びが上がった。ゴードンはもう、畏怖にとらわれてはいマカ サプリなかった。
 陽の光に照らされて、英雄の藍色の髪がきらりとひらめく。その横顔は凛々しく、金色の瞳は未来を見据えている。
 勝利という未来を。
 そう信じるには充分過ぎて、ゴードンは胸を熱くした。
 そう、ゴードン達はこの手で必ず国民を守るのだ。
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「ほら、こマカ と は

「ほら、こんなにいっぱい倒せたのよ」
 ステラは両手いっぱいに魔導石を抱えて笑う。
(ゴーヤ チャンプルーうん……?)
その明らかに多い量にミモザは首をひねった。
「すごいね、えー亜鉛の効果と、40個くらい?」
「あら、そんなものじゃないわよ、そうねぇ、さっき数えた時は72個あったわ」
「え?」
「ふふ、驚いた?すごいでしょ、2人で頑張ったのよ」
「ふ、2人で、」
「そうよ」
 ミモザは強張った顔でなんとか笑みを作り、「これ、昨日の分とかもクロム混ざってるのかな」と問いかけた。
「いいえ?昨日の分はこっち、これはね、今日の分よ」
「……っ!!」
 ひゅっと息を呑む。ことの重大さがわからないのだろうか。
 思わずアベルを見ると、彼は気まずそうに目を逸らした。
 この国にはルールがある。野良精霊が絶滅しないように、一日に1人が狩れる野良精霊の数は20匹まで。
 つまり2人で狩れる数は合わせて40匹。
 それを遥かに超えた数の魔導石。
ゴーヤ(違法行為だ)
「え、えっと、お姉ちゃん、1人20匹までだよ」
 ミモザは震える声で訴える。
「そんなに野良精霊を狩るなんて、そんな酷い……」
 そこまで言いかけてミモザははっとした。このシーンをミモザは知っている。
 これは、ミモザの妨害イベントだった。
 ゲームの中のミモザは嫌がらせを繰り返す。ある時は塔に入るのを妨害したり、ある時は『いちゃもんをつけて魔導石を奪い去る』。
 ミモザの中で、それらの認識が180度ひっくり返る。
(嫌がらせじゃない)
 ミモザはステラを諭していたのだ。法律違反はいけないと。
(いやいやいや、ちょっと待て)
 このゲームでは一回の戦闘で4~5匹の野良精dha epa dha霊とエンカウントする仕様である。つまり4回ほど戦闘を行えば20個に到達してしまう。アベルの分を含めても8回の戦闘で上限だ。つまり簡単に20匹という上限は超えられてしまう。そのうえプレイヤーはレベルを上げるために野良精霊との戦闘をわざと回り道をしたり練り歩いたりして何回もこなす。
 そしてゲームの中ではこの野良精霊を狩る数の制限の話など1ミリも出てこない。
 だからミモザの訴えがいちゃもんにしか聞こえなかったのだ。
(ということは、もしかすると他の嫌がらせも何かしらの意味があったのかも知れない)
 今はまだわからないなんらかの理由で、ミモザは姉の違法行為を止めようとしたのだとしたら。
 そこでミモザはもう一つ思い出す。ゲームのミモザは序盤は狂化していなかったということを。今のミモザがすでに狂化してしまっているのゴーヤは前世の記憶を思い出したからだ。
(ゲームのミモザはまだ、お姉ちゃんのことを嫌っていなかった……?)
 何せ姉から体を張って魔導石を奪うのだ。それは犯罪行為の隠蔽に他ならない。
 思い返してみれば記憶を思い出す前、ミモザはステラにいじめの相談をしていたのだ。その時の心境はもはや思い出せないが、それはステラを信頼してのことだったに違いない。
(どうしよう)
 冷たい汗が頬を伝う。チロも所在なさげに「チー」と鳴いた。
 ゲームなら本来、ここは魔導石を取り上げる場面だ。しかし破滅を恐れるミモザとしてはここは何もせずに放っておくのが正しい。
(でも……)
 そうしたらステラは咎められるだろう。野良精霊の狩猟制限を破るのはそれなりの罪だ。具体的には牢屋に入れられる可能性もあるし、初犯ではさすがにないだろうが繰り返せば精霊騎士となる資格も剥奪されるかも知れない。
(わからない、わからないよ、『ミモザ』)
 語りかける。ゲームのミモザはステラを助けようとしたのだ。
 忌々しいステラ、妬ましいステラマカ
(どうして助けようとした?)
 今決めなければならない。ここで魔導石を奪わなくてはステラはきっとなんの疑いもなく魔導石を売ろうとして捕まってしまう可能性が高い。
 ミモザの頭の中をぐるぐると益体のない思考が駆け巡った。
「ああ、あの法律?」
 ステラの声にはっと顔を上げる。ステラは涼しい顔で微笑んでいた。
「そ、そうだよ。知ってるでしょ」
 ほっと息を吐く。話し合いで解決できそうだと思って一歩前に踏み出すと「でも、野良精霊なんて少ないほうがいいじゃない」と彼女はその気持ちを裏切るように言い放った。
「……え?」
「野良精霊がいっぱいいるとみんな困っちゃうわ。ねぇミモザ、法律は大事だけど、それだけじゃなくてその意味をきちんと考えるべきだと思うの。きっと無茶して傷つく人を減らすために制限があるのよ。だから、わたしは強いから大丈夫」
 彼女は花のように美しく笑う。ミモザの喉はからからに乾いて呼吸が苦しくなる。
「なに、言って、」
「わたしは20匹以上狩っても大丈夫よ。怪我も全然していないもの。ああ、でもミモザは大変だと思うから真似しちゃダメよ」
 息が苦しい。心理的なストレスで呼吸が浅くなっているのだとミモザは思い、意識して深く息を吐いた。そして吸う。
「お姉ちゃん、違うよ。制限がアントシアニンあるのはね」
 そこまで言いかけて言い淀む。野良精霊の絶滅を防ぐためだ。エネルギーの補填のために、国と教会はある程度の野良精霊の繁殖を推奨している。しかしそれは公式見解ではなくただの暗黙の了解だ。みんな薄々察してはいるが、根拠となるものは何もない話だった。人に被害があるかも知れないにも関わらず、野良精霊を増やしていいなどと、国も教会も立場上おおっぴらに言えはしない。
「なぁに?ミモザ」
「の、野良精霊は絶滅しちゃいけないんだよ。魔導石が枯渇したらみんなが生活に困っちゃうでしょ」
「何を馬鹿なことを言ってるの、ミモザ」
 鈴の音を転がすような軽やかな声で姉はころころと笑う。
「そんなこと誰も言ってないわよ。話を作っちゃだーめ。だったらなんで教会は守護精霊を野に放つことを禁止しているの?野良精霊が増えると困るからでしょ?」
「それは、」
「ミモザ、羨ましいんでしょ」
 ステラはにこにこと続ける。
「自分がたくさん狩れないから、お姉ちゃんにもやめて欲しいんでしょ。だめよ、人の足を引っ張るような真似をしちゃ」
 ひゅっと息を飲む。話が通じない。元々天然で話が意図した形で伝わらないことはあったが、今回の件は天然だから仕方がないで済ませられる問題じゃない。
「お姉ちゃん、法律違反はダメだよ。お巡りさんに捕まっちゃうよ」
「大丈夫よ。話せばわかってくれるわ」
 ミモザは首を横に振る。何度も、何サプリメント マカ度も。
 その仕草がゲームのミモザが死ぬ直前にしていた動作と重なって、ミモザは動きを止めた。
 目をつむる。息を吐く。
「チチッ」
「そうだね、チロ」
 ミモザは同意した。
 チロは、もうダメだ、見捨てよう、と言った。
 覚悟を決めて、ミモザは姉を睨む。ゲームのミモザは優しかった。体を張って姉を止めようとしていた。けれどその結果がすべてを奪われて死ぬだけなのだと今のミモザは知っている。
 そして申し訳ないが、今のミモザは姉のために濡れ衣をかぶるだなんてごめんだった。
「お姉ちゃん。僕は忠告したよ」
「ミモザ?」
「お姉ちゃん、僕は貴方の」
 訝しげな表情を浮かべる姉の顔を見つめて、ミモザは宣告した。
「敵だ」
亜鉛 の サプリクロムゴーヤマカ

 レオンハルポリ ペプチド

 レオンハルト・ガードナーは英雄である。
 それはガードクロムナー家の使用人であり侍女頭であるマーサも認めるところだ亜鉛
「ねぇねぇ見た?」
「何を?」
「何をってあなた!この間の練習試合よ!」
 きゃあきゃあと出先の店先で若い娘達が黄色い声ではしゃいでいる。
「レオンハルト様の勇姿!格好良かったー!」
「いいなぁゴーヤ チャンプルー、わたし抽選が外れちゃって訓練場に入れなかったのよ」
「試合見学の市民への開放は教皇聖下のご提案でしょ?本当に良かったとは思うけど抽選式なのだけが玉に瑕よね」
「仕方ないわよ!すごい人気だもの!」
 彼女達はうっとりと目を細めた。
「レオンハルト様の格好いいこと」
「強いのにお優しくて」
「爵位を賜って偉くなられたのに気取ってなくて」
「うちの亭主と交換したいくらい」
 きゃサプリメント マカー、と歓声があがる。
「あなたそれはちょっと図々しいわよー」
「いいじゃない!ちょっとした願望よ!」
「まぁでも想像しちゃうわよね、平民出身だからワンチャンあるかもって」
 ほう、と恋する瞳でため息をつく。
「そういえば新しい姿絵が出てたのよ」
「やだ!早く言ってよ、買いに行かなきゃ!」
「あなた新婚でしょ?そういうの旦那さんは許してくれるの?」
 その質問を問われた女性は気取った様子で髪の毛をふぁさっ、と手で流した。
「絵付きのお皿を買うのは止められたわ!」
「あー…」
「それはねー…」
「高いし嵩張るからダメだって!あの紙とは違う高級感がいいのに!!」
「せめてマカ目に焼き付けときましょうよ」
 そう言って1人が店の一番目立つ位置にでかでかと飾られた平皿を指差す。その皿には華美な装飾が施されており、その中央には剣を抜いたレオンハルトの絵がでん、と描かれていた。じつに実用性が無さそうな皿である。
「………」
 マーサは四十肩ぎみの肩をとんとんと叩きながらその光景を白けた目で見る。マーサの守護精霊の小鳥もしらっとした目で見ていた。
「あいよ、マーサさん!おまちどう!」
 マーサが用があった青果店の店主がやっとお目当ての果物を手に戻ってきた。店先に在庫がないからと取りに行ってくれていたのだ。彼はマーサの視線の先を追って「ああ」と納得したように頷いた。
「すごい人気だよなぁ、あの店の前はいつも若い娘さんでいっぱいだよ」
「恋は盲目とは言うけどねぇ、夢見すぎじゃないかしらポリ ペプチド
「何を言うんだい?実際夢の中から出てきたような人じゃないか。実は俺、いつだったか仕入れに出かけた先で助けてもらったことがあるんだよ。野良精霊に襲われてよ。いやぁ、評判通りのいい男だったよ」
「……そうかい」
 マーサは果物を受け取って、心中だけでつぶやく。
(実際近くにいるとかなり無愛想な人だけどねぇ)
 やれやれとため息をつくとマーサは重い足取りで屋敷へと歩き始めた。

 マーサの勤める屋敷の主人であるレオンハルト・ガードナーという男は裏表の激しい人物である。
 表向きは非常ににこやかで紳士的な好青年だ。しかし身内だけの場や屋敷の中になると、とたんに寡黙でぶっきらぼうでとにかく重苦しい空気をただよわせた暗い人物に変貌するのであった。どちらが素なのかなど確認する必要性も感じない。
「ああ、マーサ。旦那様がお呼びだったよ」
 重い荷物を抱えて帰ってそうそうに、同僚の男はそう告げた。醜いあばた面のその男は名前をジェイドという。
 小さい身長にずんぐりむっくりアントシアニンの効果とした体格、瞼の重い目にぶつぶつとできものの浮き出る浅黒い肌。どこからどうみてもゲコゲコと鳴くあれにそっくりの男だ。ジェイドという名前の由来なのだろう瞳の緑色だけが美しいが、その美しさがかえって目玉を強調してぎょろっとした印象を与えている。その首には守護精霊の瞳の色と同じ緑の蛇がとぐろを巻いていた。
 見た目同様の陰気な男で使用人達の集まりにも全く参加しないことで有名だ。しかし彼は主人からの信頼をもっとも得ており執事長としてこの屋敷を取り仕切っていた。
「一体なんの用だかねぇ」
 ジェイドに向かって話しかけたつもりだったが、彼は気がつかなかったのか無視したのかそのまま無言で立ち去ってしまう。
 マーサはため息をつくと荷物を置いて主人の部屋へと足を向けた。
 深い赤色の絨毯のひかれた廊下を歩く。屋敷の中はどこも綺麗に掃除をして換気もされているはずなのに主人の気質にでも倣っているかのように重苦しい印象を受ける。
 必要最低限の用事以外の来客のない屋敷である。もう少し人の出入りがあれば明るい雰囲気を取り込めるような気もするのにあの人嫌いの主人にそのような進言のできる関係性の使用人などはいない。
 大きく重厚なドアをノックする。物理よりも心理的な重みのあるアントシアニンの効果ドアの向こうから入室を許可する声が響いた。
「失礼致します」
 なるべく音を立てずに部屋の中に滑り込むと、屋敷の主は執務机に腰を掛け、いつも通りの仏頂面で書類を睨んでいた。
「マーサ、弟子をここに招くことになった。部屋を準備してくれ。位置は…、そうだな、俺の私室の近くにしてくれ」
 目も合わせず淡々と用件だけを告げる。
(弟子……?)
 そんなものがいたのか、とは勿論口に出さないし出せない。
「性別はどちらでしょう?何か特別に用意するものなどはありますか?」
「性別は女だ。年齢は12。普通に寝泊まりできるように整えてくれればいい」
「承知致しました」
 頭を下げながら「女かー」とマーサは内心で嘆いた。この主人に若い娘は鬼門だ。一体何度若い娘がこの屋敷に期待に胸を膨らませて訪れ、期待を裏切られて去っていったことか。今残っている使用人は年嵩の者か、はなからそういった興味がない者だけだ。
(まぁ、この人自身が見つけてきたのなら大丈夫か)
 半ば自分に言い聞かせつつ、厄介なことになりませんように、とマーサは祈った。
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 頭上では亜鉛 サプリ おすすめきらびやかなシャンデリアが揺れていた。ク亜鉛 サプリリスタルと金細工でできたそれは、一つで平民の生涯年収を超えてしまいそうな品だ。灯りを反射して周囲を華やかに彩るその下では、人々のいろいろな思惑が交錯していた。
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 これは第一王子の意向である。
 現国王は病床に伏して久しい。意思の疎通はできるものの、その病態から執務のほとんどは何年も前から第亜鉛 サプリ おすすめ一王子が代行していた。もはや彼が王だと言われても誰も否定はしないだろう。
 その第一王子アズレン・アルタイル・アゼリアは実力至上主義者である。
 その慧眼により能力のある者を次々と登用し、それにより国の発展と安定に寄与してきた。巷では賢君と名高い。そのため今回のパーティーもその意向が色濃く反映されているのだ。
 しかしそれだけでは外聞が悪い。平民の『えこひいき』は要らぬ反感を買ってしまう。古くからの貴族の機嫌を損ねるのはいただけないのだ。そのため上流階級とプラスして王子の気に入っている人々、というゴーヤ闇鍋のようなパーティーが開催される運びとなったのだった。

 さて、そんな闇鍋の中、目立っている2人の人物がいた。それは2人の伯爵令嬢であった。
 1人はアイリーン伯爵令嬢。美しいピンクブロンドの巻き髪にエメラルドの瞳をした非常に愛らしい女性である。彼女は有数の商家を営む家柄で、その裕福さを示すように下品になりすぎない程度だがその髪飾りやネックレス、ドレスに使われる飾りまで、どれも上質な宝石で彩られていた。
 もう1人はセレーナ伯爵令嬢。艶やかな黒髪にキリリとした吊り目のオレンジの瞳をした麗人である。彼女は貴族の令嬢にも関わらず精霊騎士の称号を持つ才媛だ。シンプルながらも彼女のそのすらりとしたシルエットを優美に見せるドレスと控えめな宝飾品が美しかった。
 そんなポリ ペプチド2人はある一つのものを巡って対立していることで有名である。
 それはーー、
「ああら、アイリーン様、本日もとても可愛らしいドレスですこと」
 にっこりと微笑んで口火を切ったのはセレーナだ。
「ごきげんよう、セレーナ様。あなたもとても素敵なドレスだわ。あなたのスタイルによく似合ってらっしゃって」
 アイリーンも微笑みを返す。ただドレスを褒めるだけの会話だが、両者の間にははっきりと火花が散っていた。カーン、とどこかでゴングが鳴る音の幻聴がする。
「とてもお若く見える装いだわ。確か最近の流行のものだったかしら。パニエがしっかり膨らんでいるから対比で腰が細く見えていいわね」
 そういいながらセレーナは扇子で自らの腰の曲線をなぞって見せる。近くにいた人々は思わずそのラインを目で追った。
「ありがとうございます。セレーナ様はとてもシンプルで大人っぽい装いですわね。わたくしはそういうドレスは似合わなくって亜鉛……」
 そういいながらアイリーンは腕を寄せて見せる。彼女の豊満な胸がむにっと押しつぶされて強調され、それまでセレーナの腰を見ていた人々の目がそちらに移った。
 あまり胸の豊満でないセレーナはじとりとした目をし、多少ぽっちゃり気味の体型のアイリーンはセレーナの腰付近を親の仇のように睨んだ。
「レオンハルト様はきっとご自分と並んだ時に身長の釣り合いのとれる女性がお好きでしょうね?」
「ええー、騎士様はきっと可愛らしくて愛嬌のある女性がお好きだと思うわ。だってたくましい女性はご同僚にたくさんいらっしゃるはずでしょ?」
「仕事の内容に無理解な妻なんてお呼びではないはずだわ!」
「まるで騎士団に勤めたことがあるような口ぶりですのね!資格を取っただけで働いたことなんてないくせに!」
「何よ!」
「そっちこそ何よ!!」
 ああ、また始まった。周囲の人間はその光景を見てため息をつく。これはこの2人が同じ場所にそろった際に起きる恒例行事だ。
 彼女たちの対立の原因、それは聖騎士レオンハルトの妻の座に一体どちらがおさまるかという争いだった。
「誰があの2人を同時に招待したんクロムだ?」と誰かが尋ねたが、誰も答えなかった。
 そんなの第一王子殿下に決まっていたからだ。
 その時、新たな来賓の到着を告げる管楽器の音がした。皆が無礼をせずに済むように一人一人到着ごとに音楽隊が鳴らしてくれるのだ。噂をすればとはこのことだろう。皆の注目の中、到着したその人物は渦中の聖騎士レオンハルトであった。
 反射で若い令嬢達が上げかけた黄色い歓声は、しかし尻すぼみで終わった。かの人の隣に立つ人物を見たからだ。
 その美丈夫な男は今日は軍服ではなく黒い礼服を身にまとっていた。美しい藍色の髪をいつものように黒いビロードのリボンでまとめ、胸元には青い花を飾っている。その長身やよく鍛えられた体躯も相まって、相変わらず令嬢達がため息を溢すような色男っぷりであった。しかし問題はその隣に当たり前のように佇む少女である。
 少女である。それだけでも大問題だ。これまで一切の女っけがなく、お見合いも色仕掛けもするりとかわしていた男が女を伴って現れたのだ。
 さらに問題なのは、その少女が女神もかくやというほどの美しさだったことだ。
 綺麗に短く切り揃えられたハニーブロンドには天使の輪が光っていた。物憂げに伏せられた瞳は深海を思わせる深い青色で雪のような白い肌によく映えている。頬は薄く桃色に色づき、小さな唇もまるで果実のように艶やか亜鉛 サプリ おすすめだ。
 そしてその少女の格好がさらなる大問題だった。その髪にはラピスラズリの髪飾りがつけられ、ドレスはシンプルなものだが足元からまるで夜空のように深い藍色がグラデーションを描く美しいものだった。そしてその首元に光る黄色い宝石のついたリボン。そこには黄金の翼獅子が刺繍され、それはレオンハルトの髪を結えるものと全く同じだった。
 その全てが2人が深い仲であることを示していた。
 ふとレオンハルトが何か声をかけたのか、少女は扇状に覆われた長いまつ毛を震わせて伏せられていた瞳を上げた。途端に彼女の瞳に明るい感情が宿り、唇が笑みの形に緩む。
 その仲睦まじい様子に、思わずホールにいた招待客達は先ほど言い争っていた伯爵令嬢2人を見た。
 2人とも悪鬼の形相をしていた。
「ありゃ勝ち目がねぇわ」と誰かが余計なことを口にした。
 思いの外響いたその言葉に、2人は悪鬼のまま犯人を探さんと周囲を見回した。みんなは一斉に視線をそらし、見なかったふりをした。
ポリ ペプチドdha epa亜鉛の効果dha

(全然心配ポリ ペプチド

(全然心配する必要がなかった)
 ゲームの中ボスを倒しアントシアニンの効果てしまった。ゲームの展開が変わったらどうしよう。なんかおかゴーヤわりがいっぱい来た。今ここである。
「……っ、逃げよう!!」
 チロもさすがにこれには同意なのか素早くミモザの肩へと駆け登った。
 そのままとにかく走る。幸いなことに走る速度はミモザの方が速いようだ。
 しかし重要な問題があっマカた。
(逃げるってどこに?)
 普通の野良精霊ならば村でいい。大人達が大人数でかかればよくいるうさぎ型や犬型の野良精霊は簡単に始末できるだろう。しかし相手は狂化個体である。しかもおそらく本来ならこんな人里には来ないような森の奥深くに生息しているはずの熊型だ。
(これ、村に行ったらまずいんじゃないか)
 今更ながらに気づく。このままでは村が危ない。
 別にミモザのこポリ ペプチドとをいじめた連中やその他の仲良くもない奴らが死んだところでミモザは困らない。その程度に薄情な人間な自覚はある。けれど村には、
(ママがいる)
 母親が危険にさらされるかも知れない。ミモザにとってそれだけは避けたい事態だった。あとついでに姉もだ。復讐の前に死なれては寝覚めが悪い。
(いやもしかしたらお姉ちゃんならなんとかなるのかも知れない)
 それこそ主人公補正やらなにやらでだ。
(しかしそれはそれで腹が立つ)
 ミモザは立ち止まった。そして振り返ってチロに手を伸ばす。
「チー」
 チロは心配マカそうにしながらも、その身をメイスへと変えてくれた。
「ごめんね、チロ」
 謝ってメイスを構える。
 目の前にはもう熊の群れが押し寄せて来ていた。
「けど、譲れないこともある」
 意識を集中させる。あの熊は硬い。骨や皮のある部分は狙うべきではない。狙うなら口か目だ。
(こんなに大勢かー)
 ミモザはこれまでメイスの棘を同時に1本しか伸ばすことに成功していない。しかしゲームの中のミモザはそれこそ変幻自在に複数の棘を同時に伸縮して槍のように扱っていた。
(できるはずだ)
 ゲームのミモザができていたのだから。
 姉に無様に負ける出来損ないにもできていたのだから。
「できなきゃダメだ!!」
 メイスの柄の部分を地面に突き立てる。そして棘の部分はーー、
 全てあらぬ方向へと伸びた。
 うちの何本かは幸運アントシアニンの効果なことに熊の方へと向かいその目を差し貫く。しかしせいぜいが2.3匹程度で仕留められたのは正面にいた1匹だけだ。
(もう一度っ!)
 棘を引っ込めて後退りし距離を取る。近づき過ぎれば仕留められるのはミモザの方だ。
 複数の棘を同時に伸ばすことには成功した。次はコントロールだ。
「いけ!」
 もう一度伸ばす。今度は前方の棘だけを伸ばすことに成功したが、まったく熊の目には刺さらず分厚い毛皮と骨に遮られる。
(おかしいな)
 そこでやっとミモザは気づく。攻撃が通らなさすぎる。
 ゲームの中のミモザは雑魚だが、しかし野良精霊に攻撃が通らないほどではなかった。ピンポイントで粘膜が露出した場所を狙わなければ倒せないというのは違和感がある。
(この熊が中ボスだからか?)
 しかし序盤の中ボスである。こういうのがボスですよ、というチュートリアルに出てくる程度のものだ。
(ーーということは)
 考えられる可能性は一つだ。
 今のミモザが弱すぎるのだ。おそら亜鉛 サプリ おすすめくだが、ゲーム開始時よりもチロのレベルが低い。
 実はこのゲーム、レベルが見れるようになるのは一番最初の試練の塔を攻略し終えてからである。
 そして試練の塔に入っていいのは13歳から。この世界の成人年齢をすぎてからなのである。
 つまりぎりぎり12歳のミモザにはレベルが見えない。
(これ、もしかして詰んでる……?)
 ミモザの額を冷たい汗が伝った。

 事態は膠着していた。
 大振りな攻撃をしてくる熊達と、一定の距離を保ちつつ立ち回るミモザの攻撃は互いに一向に当たらない。
(気が遠くなってきた)
 これがゲームならミモザはもう投げ出している。しかし今のミモザにとってこれは現実だ。投げ出せば待っているのは死である。
 そして単純にこの膠着状態がこれ以上続けば不利なのは仲間のいないミモザの方だった。
(まさかこんなところでぼっちを思い知らされるはめになるとは……)
 昨日までのミモザは想像もしなかっただろう。熊相手に友達多いマウントを取られているこの現状のことなど。
「……あっ」
 そんなミモザにミスが出たのは必然だった。迫りくる熊と距離を取るために背後に踏み出した足を木の根に取られてしまったのだ。
「…dha epa……っ」
 慌てて手をつきバランスを取るが、地面に膝をついてしまう。
 ずっとミモザを食ってやろうと狙っていた熊達がその隙を逃すはずもない。
(あ、これ死んだ)
 そう悟った瞬間、目の前に迫り来る熊達の顔面が急に目の前から消えた。
サプリメント マカクロムクロムの効能

 落ち込みはしたがクロムの効能

 落ち込みはしたがいつまでも落ちdha epa dha込んでいても仕方がない。亜鉛 サプリ おすすめミモザは今日も今日とて塔の攻略に勤しんでいた。
 続いてのターゲットである第3の塔は合成技術の祝福がもらえる塔である。
 合成とはドロップや採取した材料を組み合わせて薬や道具を作成する技術だ。こ亜鉛の効果れにより回復薬や毒薬はもちろん、梯子や網などを作成することができ、梯子を使用しなければいけない場所に行くことが可能になったり、捕まえられなかった野良精霊が網を使うことで捕まえられるようになったりするという素晴らしい技術だ。
 正直この祝福がなくてもストーリーを進めることは可能だが、有利なアイテムを手に入れたり、やり込み要サプリメント マカ素を消化するのには重要な技術である。
 さて、この第3の塔はまず塔に辿り着く前に一つ関門がある。
 それは洞窟である。
 ゲームでは特に害のある野良精霊などはおらず、蝙蝠型の野良精霊が背景的にぶら下がっているだけの洞窟なのだが、まぁ当然洞窟なので中は暗い。つまり第2の塔で手に入れた暗視スキルが必須なのである。
「ふー……」
 ミモザは小さく息を吐いた。
「オーケーオーケー。まだ大丈夫。まだ折れてない」
 心の話である。
 暗闇の中、ミモザは自分の手を目の前にかざす。銅の暗視スキルにより、自分の手はわずかに暗アントシアニンの効果闇の中浮かび上がって見えた。
 それだけであった。
「使えねぇ…」
 銅の暗視スキルはなんと、自分の体が暗闇の中でも認識できるというだけのものであった。それ以外は何も見えない。真っ暗闇である。
「チー」
 守護精霊も自身の一部と見なされているのだろう。肩の上でチロが諦めたように首を振る姿が見えた。
「うぶっ」
 その時ばさばさと音を立てて何かがミモザの顔面に激突した。手で払いのける前にミモザの顔面を蹴り付けてそれは飛び去っていく。
 蝙蝠だ。
「焼き鳥にしてやる……」
 ミモザは目を据わらせると蝙蝠を捉えてやろうと両手を構えた。
 そのままじわりじわりと前に進む。
「うおっと」
 しかしそのまま小石か何かに足を取られて転びかける。なんとか壁に手をついて支えたため転倒はまぬマカ サプリがれたが、壁についた手の下に何かの感触がある。
 それはカサカサカサと音を立てて逃げていった。
「虫か……」
 これでミモザが虫嫌いだったら悲鳴を上げているところである。
「あああっ!くっそー!」
 イライラする。しかし進まないわけには行かない。ここを抜けなければ第3の塔には辿り着けないのだ。
 もしくはこの洞窟の開いている岩山を登るという手もあるにはあるが、なんとなくそれはミモザの矜持が許さない。
 みんなが、特にステラが普通に通っている道を自分だけが通れないだなんて。
 例え第二の塔とは異なりこの洞窟の中が迷路のように枝分かれした複雑な道だとわかってはいても、進まないわけには行かなかった。

 数時間後、ミモザはもはや目をつぶって歩いていた。開けても閉じても変わらないからである。
 チロをメイスへと変え、それを杖代わりにして前方の地面を突いて確認しながら進む。最初はそろそろ歩きマカだったが、もはや慣れてほぼほぼ通常の歩行速度と変わらなくなってきていた。
 ふと、空気を切って羽ばたく音がした。
「そこだーっ!」
 叫んでミモザは手を伸ばす。パシッと軽い音と共にミモザの手はそれを捕まえた。
 蝙蝠である。
「ふっふっふっ」
 散々ミモザのことを翻弄してくれた蝙蝠はミモザの手の中でキュイキュイと戸惑った声を上げている。
「はっはっはっはっはーっ!!」
 洞窟の中にミモザの高笑いがこだまする。長い時間暗闇の中を彷徨い歩いたミモザには、見えずとも物音などの気配で生物の位置を捉える能力が備わり始めていた。
 じゃり、と背後で音が鳴る。ミモザは笑うのをやめてその方角へ向けてメイスを構える。
「………えーと、ミモザさん。何をなさっているんですか?」
 右手にメイスを、左手に蝙蝠をたずさえて目を閉じたまま仁王立ちをするミモザに、その姿が祝福によって見えているジーンはそう尋ねた。
 ミモザには見えていなかったがその表情はドン引きしている。
「見ての通り、第3の塔を目指して進行中です」
「僕の目には蝙ゴーヤ蝠狩りをしているようにしか見えませんが」
「そういう側面もありますね」
 堂々とミモザは頷く。
「側面というか、真っ正面から見てそうとしか見えないんですが……、まぁいいや」
 ジーンはミモザの奇行を正すのを諦めたようだ。そして改めてミモザの姿をまじまじと見て尋ねた。
「もしかしてなんですけど、第2の塔の攻略に失敗しました?」
「失敗はしていません。ちょっと自分の体以外の全てが見えないだけです」
「なるほど、銅の祝福はそんな感じなんですね。それで、一体どれだけここに居たんです?」
「いま何時ですか?」
「僕が洞窟に入ったのは午後2時ですね」
「朝の6時にきました」
「…………」
「8時間ですね」
 にこっとミモザは笑った。ジーンは笑わなかった。

「……結局なんやかんやさらに時間がかかりましたね、もう夕方ですよ」
 ジーンの言う通り、洞窟を抜けると空はまだかろうじて青いが西の方はもう茜色に染まりかけている。
「でも見てください、ジーン様。洞窟にこもっていたおかげで僕の気配を察知する能力が開花しました」
 そう言ってミモザは右手に5匹、左手に6匹の蝙蝠を握った状態で見せる。
 彼らはうぞうぞと動いて解放を訴えて鳴いていた。
「うわっぐっろ!ちょっとやめてくださいよ!そんな汚いものぽいしてください亜鉛。ぽいっ!!」
 邪険に扱われてミモザは少々むっとしたものの、確かに持っていても仕方がないといえば仕方がないので両手を開いた。とたんに蝙蝠たちは一斉に洞窟に向かって飛び去っていく。
「ばいばーい」
「ばいばいじゃないですよ」
 ジーンは呆れている。ミモザは肩をすくめると「じゃ、行きましょうか」とジーンのことを促した。
 目の前には背の高い塔の姿が見えていた。
マカ サプリゴーヤ亜鉛 の サプリ

 さて、昨日に引きゴーヤ

 さて、昨日に引き続きミモザは塔の攻略に来ていた。第3亜鉛の効果の塔くらいまでは塔の中に野良精霊も出現せずレベルが低くても比較的さくポリ ペプチドさく攻略できるため、皆あまり間を開けずに攻略するのが主流である。ミモザもそれに倣うことにした。
 次のターゲットである第2の塔は暗視ができるようになる祝福の塔である。この塔でやることは第1の塔とあまアントシアニンり変わらず、鍵を探すのは一緒である。しかし暗闇の中で、である。自分の指先も見えないような暗闇を進み、その最中で鍵を見つけるという試練だ。当然この鍵にも金銀銅のランクが存在するが、今回は視認して選ぶことなどできないため、暗闇の中でどれだけたくさんの鍵を見つけられるかが勝負となる。
 かくして、ミモザは今、
(気まずすぎる……)
 何故かステラとアベルと共に塔の入り口で入場確認を受け亜鉛 の サプリていた。
 理由は簡単だ。塔の前で偶然鉢合わせてしまったのである。

 先に来て入場の列に並んでいたのはミモザであった。そこに後から2人が来て、知らないふりをしてくれるかと思ったら「あら、ミモザ」とステラが声をかけてきたのだ。
(帰りてぇ……)
「ねぇミモザ、聞いてる?」
 それから延々とステラに話しかけられ続けているミモザである。その態度に段々と昨日あったと思っていた出来事はもしかしたら夢だったのだろうかと疑い始めていた。
 まぁさっきからチロがイライラとミモザの肩で地団駄を踏んでいるのでおそらく現実亜鉛 サプリ おすすめにあったのだろうが。
「お姉ちゃんって気まずいって感情知ってる?」
「……? もちろん、知ってるわよ?」
 なら話しかけてくんなよ、とは言えない小心者のミモザである。
 ちろり、とその隣でやはり気まずそうに貧乏ゆすりをしているアベルを見る。彼と目が合った。
「………やめさせたから」
「は?」
 アベルはちっ、と舌打ちを一つすると、周囲をはばかるように小声で告げた。
「昨日の。野良精霊狩りだよ」
「……ああ」
 そうですか、とミモザは頷く。もはやミモザには関係のない話だ。
(でもそっか、辞めさせられたのか)
 それは素直に賞賛に値する。ミモザが諦めてしまったことを、アベルはやり遂げたのか。
 だからと言ってアベルのことを許すつもりは毛頭ないが、憂いが一つなくなったことは確クロムの効能かである。
「ついでにここから連れ出すか僕に話しかけないようにしてくれない?」
「それはまぁ、俺には荷が重い」
 ミモザはちっと舌打ちをした。
 いまいち使えない男である。

 無事に入場許可をもらい塔の中に入る。とたんにミモザの体は一寸先も見通せないような暗闇へと呑み込まれた。
 試しに手を伸ばして目の前にかざして見るが、その輪郭はおろか、動かしてみても存在すら感じられない。
 手をそろりそろりと横へと伸ばす。何かごつごつとした岩肌のようなものにその手は触れた。どうやら壁らしい。
 背後で扉の開く音がし、一瞬光が差し込んだ。だがその眩しさに目が眩んでいる間に再び闇に包まれる。
 後ろに並んでいた人物、おそらくステラかアベルが入ってきたのだろう。ミモザは2人に追いつかれないように慌てて壁伝いに前へと歩き出した。
 誰かの足音がまばらに聞こえる。息づかいやひそめられた悲鳴も。誰かが近くで転んだ音がした。人の存在を感じるのに亜鉛 サプリ おすすめ何も見えないというのはとても不気味な状態だ。
 その時ミモザの左側を誰かが通り過ぎた。足音の遠ざかっていく方向とその素早い歩行からして試練を終えて帰っていく人かも知れない。祝福により暗視の能力を手に入れたのだろう。
(鍵を探さなきゃ)
 暗闇の中進むことに夢中になって、すっかり忘れるところだった。
 しかし探すといってもこれでは進むだけで精一杯だ。ふと思いついて足をずりずりとするように動かす。その時こつん、と何かが当たった。屈んでそれに触る。
(ただの石ころか)
 そのまましばらく手で地面を弄っていると思いっきり誰かに手を踏まれた。
「いった!」
「おっと、すまねぇ」
 見知らぬ誰かはそれだけ言うとまた歩き始めたようだ。徐々にその足音は遠ざかっていく。
 屈んでいるのは危険だと判断してミモザは地面を探すことを諦めて立ち上がる。先ほどまでたどっていた壁に再び手をつくと、その壁を手当たり次第に撫で回した。
(……お?)
 しばらくするとくぼみのようなものに触れた。その中に手を突っ込む。何か硬くて小さな物がある。それを握って引っ張り出して見るが、まぁ、見えない。
(そりゃそうだ)
 とりあえずすべすべとした冷たい手触りは金属っぽい。形も鍵の形をしている亜鉛 の サプリ気がする。判別は諦めてとりあえずミモザはその鍵らしきものを持ってきていた巾着袋の中へと放り込んだ。
(これは長丁場になるなぁ……)
 どこまで進めばゴールなのかもわからない。しかもミモザの記憶が正しければこの塔の内部は基本一本道ではあるものの、ちょこちょこすぐ行き止まりになる分かれ道があったはずだ。
(まぁ、いい)
 なにせミモザは誰もがすぐに攻略する第1の塔におよそ7時間も居座ったという華々しい実績の持ち主である。長期戦はいろいろな意味で得意だ。
「がんばるぞー、おー」
「チー」
 小さな声でチロと一緒に気合いを入れるとミモザはまたそろりそろりと歩き出した。

 扉が開く。
「ううっ」
 眩しさにミモザはうめく。どうやら最上階にやっとたどり着いたらしい。
 その部屋にはミモザと同じように暗闇を歩いてきた人達が複数人立っていた。鍵を挿す扉の前には行列ができている。
 どうやら第一の塔はすぐに終わってしまう試練のため塔の中にいる人もまばらだったが、暗闇を進むという時間のかかる試練ゆえに渋滞が発生しているらしい。暗闇の中でも確かに見えはしないがたくさんの人間の気配を感じていた。
「さてさて」
 ミモザは手に握っていた袋を見る。小さな巾着袋はぱんぱんに膨らんでいる。
 豊作である。
(なかなかに頑張ったんじゃなかろうか)
 人が多かったためあ亜鉛 の サプリまり一ヶ所に長居は出来なかったが、そのわりにはなかなかの数の鍵を見つけられた。
(もしかして金の鍵もあったりして)
 宝くじの当選番号を確認する気分でにまにまと笑いながらミモザは袋を開けて中を見た。
 閉じた。
 もう一度中を見た。
 銅の鍵しか入っていなかった。
「……………」
 ミモザは無言でのろのろと歩くと広い部屋の隅の方へと移動してそこに座り込んだ。
「いいんだ、わかってたから。僕なんてどーせ、どーせ」
 そのまま体育座りになり地面にのの字を書く。
「えーと、大丈夫か?」
 その時聞いたことのある声が話しかけてきた。その不愉快な声にミモザはきっ、と睨みを効かせる。
「他の誰に言われてもいいけどお前からだけはそんなセリフは言われたくないっ!!」
 声の主はアベルだった。彼は手に銀の鍵を握っている。
「わ、わりぃ」
「謝るなぁ!余計惨めになる!うわーん!!」
「あらら、ミモザ、可哀想に。だめよ、無理をしちゃ」
 そう言って歩み寄ってきたステラの手には金の鍵が握られていた。
 ミモザはさらに泣いた。
 ステラはミモザの握る袋を引っ張って中を確認する。その中身が銅の鍵しかないことを見て取ると少し笑った。その後思案するように指を口元にあてる。
「でも困ったわねぇ、銅の鍵じゃあ暗闇の中あの道を戻るのは大変だわ。そうだ、手を繋いであげる。私たちと一緒に帰ろう?」
 そう言ってにっこりと差し出された手を
「や、やだ」
 ミモザは拒絶した。
 頼むから放っておいて欲しかった。
dha亜鉛 サプリ おすすめゴーヤdha

「そんなことdha

「そんなことよりも問題は! わたくしの可愛い弟子がその被害に遭っていること! そしてそアントシアニンの効果ポリ ペプチド魔薬の流出経路です!!」
 そのくだらないやり取りを引き裂くように、燦然と輝く銀の髪を振り乱し、フレイヤは手を腰に当ててずいっとオルタンシアに詰め寄った。
 豊かな胸がずずいっと目の前の視界を圧迫する。
「うマカ と は、うん、わかっていますよ、もちろん。フレイヤくん」
 その勢いと威圧と視線の向きによってはセクハラに当たらないかの心配で、額ににじんだ汗を拭き拭きオルタンシアは同意する。巷ではナイスミドルと評判の教皇も王国騎士団団長、否、怒れる美女にはかたなしだ。
「あー……、その流出経路についてだが」
 ガブリエルがそんな上司に助け舟を出すように口を挟んだ。
「フレイヤも知っていると思クロムうが、おそらく近頃噂の『黒い密売人』が本命だな」
「黒い密売人」
 思わずオウム返しにミモザは真似をする。なんだか意味がありそうでなさそうな名称だ。
 そんなミモザには構わず、ガブリエルは資料を取り出して机の上へと並べた。見ると王都の地図に赤い印がついているものや人相書きなどがある。そこに描かれている特徴は黒いローブに身を包んだ背が高く黒髪長髪の男とあり、なるほど黒という要素がふんだんに盛り込まれていた。
「この男の目撃情報は主に夕刻から深夜、裏路地や街の郊外などの人気のない場所が多い。何回か接触を試みたがほぼすべて空振りでこれらの情報のほとんどは魔薬マカ サプリの購入者からの聴取によるものだ」
「接触できなかったのか?」
 訝しげなレオンハルトの問いにガブリエルは頷く。
「覆面警官による待ち伏せはすべて空振り。購入者の協力を得てその周辺で待機していてもその時に限って現れねぇ。囮捜査で若い女性警官をうろつかせてもまるで気配も現さねぇ。一応、一回だけ接触に成功したことはあったんだが……」
 そこでガブリエルはわずかに言い淀んだ。
「捜査員が独断専行で一人で行ったんだ。翌日、重症で発見された。もう少し発見が遅れていれば命はなかっただろう」
 ミモザは息を呑む。その捜査員の技量はわからないが素人ではないことは確かだ。それを相手取って重症を負わせるなど生半可な腕ではない。
「つまり、周囲で他の人間が見張っていると現れないということか」
「ああ、その通りだ。ど亜鉛 サプリ おすすめうやって察知してるのかは知らねぇけどな」
 レオンハルトの言葉にガブリエルは頷いた。その表情は苦々しく悔しそうだ。
(もしかしたら重症を負った捜査員はガブリエル様と親しい仲だったのかも知れない)
 そう思わせるような態度だった。
「一応、わたくしも囮として過去に出没報告のあった場所に一人で立って見たんだけどね」
 フレイヤも険しい顔で言う。
「現れなかったわ。おそらくわたくしの顔を知っているんだと思う」
「用心深いことですね」
 オルタンシアは嘆息する。
 つまりその黒い密売人は見張りがいると現れず、見張りがいなくても騎士団の者だとわかる場合は現れないということだ。
「あと、情報としてはその被害にあった捜査員が言うには異常に自身の強さを誇示していたらしい」
「はぁ?」
 ガブリエルの提供した情報にフレイヤは不愉快げに声を上げた。
「散々逃げ回っておいて何よそれ。それならわたくしの前に姿を見せなさいよ!」
サプリメント マカどうどう、俺にキレたって仕方ねぇだろ」
 フレイヤの怒りに反応してか守護精霊のクワガタも威嚇してツノをガチガチと鳴らす。今にもガブリエルの首を絞めあげそうな勢いだ。彼はとんだとばっちりである。
「どうしましょうか」
 それを無視してレオンハルトはオルタンシアに問いかけた。
「そうですねぇ」
 思案するように彼は視線を動かし、ミモザに目をとめた。それは一見偶然ミモザを見たとも思える動きだったが、どうにも演技のようにも見える仕草でもあった。
 彼はにこりと穏やかに笑う。
「ミモザくん、君にお願いできますか?」
「……僕ですか?」
「オルタンシア様、それは……っ」
 否定しようとするレオンハルトを手で制し、彼は「彼女が適任です」と静かに告げる。
「ここまでの情報で、ミモザくんの双子のステラくんとやらが顧客なのは明らかです。そして今ここには彼女にそっくりなミモザくんがいる」
 オルタンシアの肩におそらく彼の守護精霊であろう鮮やかな青色のイグアナがのそのそと姿を現した。彼は主人にそっくりなそのすみれ色の瞳でミモザをゆったりと見つめた。
「きっと黒い密売人はミモザくんのことをいdhaつもの常連と間違えて姿を現すことでしょう」
「……っ、危険すぎます」
「彼女は君の弟子でしょう。弟子の技量を信じられないのですか?」
「それは……っ」
 どこまでも冷静な瞳にレオンハルトはそれ以上なにも言えずに押し黙った。それにオルタンシアは満足そうに頷くと、ミモザのことを再度見つめた。
「ミモザくん、引き受けていただけますか?」
 それは疑問の形を取ってはいるが、レオンハルトが反論を諦めた時点で確定事項のようなものだ。
「わかりました。お引き受けいたします」
 ミモザにはそれ以外の返事は許されなかった。

「ミモザ」
 教会からの帰路で、レオンハルトは雑貨屋によると何かを購入した。筒状で下から紐の飛び出したそれをミモザへと寄越す。
「なんですか? これ」
「信号弾だ」 
 首を傾げるミモザにレオンハルトは静かに告げる。
「いいか、ミモザ。取り逃がしてもいい、致命的になる前にすぐにこれを使いなさい。そうしたら俺は必ず駆けつける」
 ミモザはレオンハルトの顔と信号弾を交互に何度か見た末、それをありがたく受け取った。
「これがあれば百人力ですね」
 わざと茶化すようにそう言うと、彼は少しむっと眉を寄せた後、諦めたように笑った。
「油断するなよ」
「はい!」
 ミモザは信号弾を両手で優しくぎゅっと握る。
 この事件はミモザ個人としてもなんとかしクロムの効能て収めなければならなかった。
 無論、ステラに味方する人物をなるべく増やさないためである。
亜鉛の効果ゴーヤゴーヤ

 まだ朝の早い時間アントシアニン

 まだ朝の早い時間、ステラ達は塔を目指して歩いていた。
 何故こんなに朝早いのか。アントシアニンの効果それは人目をアントシアニン避けるためだ。
 ステラ達は今、警官から目をつけられている。ステラとしてはこそこそとするような真似は業腹だが、またうるさく絡まれるよりは遥かにましだった。
「次は第5の塔ね」
 ステラが歌うように告げる。それに着いて歩いてdhaいた面々はそれぞれの反応を返した。
「そうだね」とマシュー。
「楽しみですね」とジーン。
「……………」
 アベルだけは無表情で何も言わなかった。
(困ったわね)
 それにステラは眉を寄せる。
 ステラの『毒』は、何故だかアベルにだけはうまく効かなかったのだ。
 けれど彼は反抗する気もないらしい。仕方なくステラは彼のことをそのまま連れ歩いていた。
 ステラのマカ サプリ新たに目覚めた能力。それは『毒』属性だった。
 ティアラが傷つけた者にその毒は感染する。それはラブドロップと全く同じ効果をもって作用した。
 ステラは自分の肩でくつろぐティアラを見る。その瞳は、青い。
 それはステラが幻術を見せる機能のあるネックレスで隠しているからだった。
(狂化って言うのよね)
 ステラは思い出す。確か前回のミモザがなっていたものだ。
 狂化したミモザは狂化する前よりも確かに使える技が多彩で強くなっていたと記憶している。
 そう、今回のミモザのように。
(今回も狂化しているのかしら?)マカ と は
 けれどミモザもチロも目は紅くない。しかし現にステラが幻術で誤魔化しているのだ。ミモザが誤魔化していない保証はない。
 狂化は国や教会で取り締まりの対象になっているが、どうしてだろうとステラは思う。
(こんなに解放的で素晴らしいのに)
 こんなに気分がいいのは久しぶりだ。
 ステラはスキップをするように歩いていた。

 それはあともう少しで塔に着くという頃に起こった。
「………ん?」
 マシューが立ち止まる。
「どうしたの?」
「いや、なんか音が」
 言われて耳をすましてみると、確かに音が聞こえる。本当に微かだが、これはーー
「鈴の音……?」
 四人は顔を見合わせる。
「野良精霊か?」
 アベルの問いに
「いえ、もしかしたら野良精霊に襲われている人が助けを求クロムの効能めているのかも知れません」
 とジーンが応じる。
 確かに盗賊や精霊に襲われた時に助けを求めるためにベルや鈴などを携帯するというやり方は、かなり古い方法だがなくはない。
 最近ではブザーの鳴る魔道具が主流だが、費用を抑えるために鈴を携帯する人も一定数はいた。
「行きましょう」
 ステラは頷くと、そっと茂みの中へと分け入った。

 鈴の音は段々と近づいてきていた。移動している気配がないため、もしかしたらもう持ち主は事切れており鈴だけが風に揺れているのかも知れない、とステラは思う。
(遺品だけでも持ち帰ってあげましょう)
 そう思いながら草をかき分けて進み、
「…………え?」
 ステラはそこで、自分に瓜二つの少女の姿を見た。

 白と藍色のワンピースが風にひるがえっていた。
 彼女は短い金色の髪を風に揺らしながら、両手に鈴を持って優雅に踊る。くるくると回る動きに合わせて、スカートはふわりと広がり、鈴がしゃらマカんと涼やかな音を奏でた。
 湖のように静謐な、青い瞳がこちらを見る。
 視線が合った。
「ようこそ」
 ワンピースの少女、ミモザは踊るのをやめてこちらを振り返った。
 その瞳が微笑む。
「引っかかったね、お姉ちゃん」
「………っ!!」
 とっさにステラはレイピアを構える。間髪おかず、氷の破片を放つ。
 しかしそれはミモザに辿り着く前に炎の斬撃に阻まれた。
 ゆっくりと、ミモザの隣に男が立つ。
 藍色の長い豊かな髪、黄金に輝く意志の強い左目、白い軍服を身にまとった美丈夫な男だ。
 鋼のような強さで、彼の視線がこちらを射抜いた。
「レオンハルト様……」
 思わず後退る。しかしその背後で足音がした。振り返るとそこには、
「先生!!」
 ジーンが声を上げる。その言葉の通り、銀色の髪の麗人、フレイヤが立っていた。
「俺もいるぜーぃ」
 へらりと笑ってガブリエルがジェーンを伴ってその隣に並ぶ。
「ジェーンさん、どうして……」
 マシューが苦しそうにうめいた。
 四人は挟み討ちにされていた。
「愛の逃避行はここまでだよ。ここから先は……」
 ミモザは苦笑する。
「反省会、だよ」
 ステラは忌々しげに亜鉛 サプリ おすすめ妹のことを睨んだ。

(さて、)
 ミモザは状況を見回した。
 挟み討ちには成功した。あとは人質達をどう解放するかである。
(とはいえやっぱり、洗脳されてるっぽいな)
 マシューもジーンも、こちらを敵のように睨んでいる。
 ミモザは落ち着かなげにスカートを揺らす。慣れない格好はするものではないな、と思った。
 足がスースーする。
 このワンピースは以前王都に来たばかりの頃、12歳の時にレオンハルトに買ってもらったものである。とはいえ今のミモザでは当然体格が合わず着れなかったのでリメイクしてもらったものだ。
 元々は白いワンピースだったものを、内側に藍色のワンピースを重ねるようなデザインにしてリメイクしてもらっている。藍色のワンピースの部分を今のミモザの体格に合わせているので足りない丈の分、藍色のレースのついたプリーツスカートが白いワンピース部分からはみ出て見え隠れしているのが可愛らしい。肩の部分も今のミモザが着れるように広げるついでに、縫い目を誤魔化すためか藍色のリボンやコサージュでカバーされていた。
「お姉ちゃん」
 ミモザは声をかける。ステラはきつく睨んできた。
「自首をお勧めするよ」
「自首をしなくちゃいけないような理由はないの」
 ステラは一転して、にこりと微笑む。
「ミモザ、どうしてお姉ちゃんの邪魔をするの?dha epa
「………邪魔じゃないよ。仕事のお手伝い」
「仕事」
「そう、仕事」
 ミモザはなんと言えばいいかを悩む。なんと言っても意味などないのかも知れないが、だからと言って悩まないのは難しい。
「犯罪がいけないのは、それを許しちゃうと社会が混乱するからだよ」
 結局ミモザは月並みな言葉を吐いた。
「例外を出来る限り作らないのは、それをしちゃうと人と社会を信用できなくなっちゃうからなんだよ、お姉ちゃん」
 たぶん伝わらないだろうなと思う。伝わってほしい気持ちはある。
「貴方をルールの例外にする理由はどこにもないんだ」
 けれど虚しさの方がどうしても勝る。この理屈の通じない動物に話しかけているような空虚感はどこからくるのだろうか。
 獰猛な肉食獣に自ら首輪をつけてくれと説得したってきっと無意味なのだ。
「わからないわ」
 ステラは微笑んだ。
(ほら、無意味だった)
 ミモザは力無く笑う。
「可哀想な人がいるの。みんなが幸せになる道がわたしには見えるの。ねぇ、ミモザ」
 ステラは笑う。花のように美しく、完璧な微笑みだ。
「貴方も知っているでしょう? みんなが幸せに笑っている未来。一度目の人生。すべてが満たされていたの。完璧だった」
 そこで彼女のサファイアの瞳はレオンハルトを見た。
「ある人の死、以外は」
「それって僕のこと?」
 違うとわかっていてあえてミモザは聞いた。苦笑する。きっと彼女には些末ごとだったのだろう。
 ミモザの苦悩も死も。
「ああ、そうだったわね。あなたも死んだんだっけ」
 遠い何かを思い出すようにサプリメント マカ彼女は言った。
「あなたも生きていていいのよ。わたしの邪魔をしなければ」
「……それは無理かな。きっと僕の欲望とお姉ちゃんの欲望は共存できない」
「そう、なら……」
 ステラは残念そうに、けれどあっさりと言った。
「死んで?」
 レイピアを向けられる。ミモザはチロをメイスに変えようとして、
「待ってください」
 横槍が入った。姉妹の青い瞳が声の主を振り返る。それはジーンだった。
 彼はその視線に苦笑すると、「僕に任せてください」とステラを庇うように前に進み出た。
「ジーンくん……」
「ステラさんは危ないので後ろへ」
 彼は紳士的に微笑んだ。そしてミモザへと向き直ると、真っ直ぐに剣を向ける。
「ミモザさん、勝負です」
「……いいでしょう」
 ミモザは不敵に微笑んだ。
「勝てるものなら勝って見せてください」
 ミモザには、対ジーン用の秘策があった。
マカ と はポリ ペプチドマカ と はゴーヤ